CowSwap
CowSwapは、AMM(Uniswap型)の流動性を利用しつつも、オフチェーンでの注文マッチングとバッチオークションを採用することで、サンドイッチ攻撃やフロントランを回避する仕組みを持つDEXアグリゲーターである。
名前の "CoW" は Coincidence of Wants(欲求の一致) に由来し、ユーザー同士の注文を直接相殺することで、流動性プールに依存せず効率的かつ安全に取引を成立させる。
official web: CowSwap
仕組み
オフチェーンオーダーフロー
- ユーザーが注文を送信すると、それはオンチェーンではなくオフチェーンのソルバー(Solver)ネットワークに送られる。
- ソルバーはユーザー注文を集約し、最適なマッチングや流動性利用戦略を構築する。
バッチオークション
- ソルバーは一定時間内の注文をバッチとしてまとめて処理。
- 同じトークンペアを逆方向に注文しているユーザーがいれば直接マッチングし、残りはUniswapなど既存AMMや他DEXの流動性を利用する。
- バッチ内で一括清算されるため、トランザクションの順番が攻撃対象にならない。
Solver競争
- 複数のソルバーが存在し、誰が最も良い価格・実行戦略を出せるかを競う。
- 最良の結果を提示したソルバーが採用されることで、ユーザーは常に最適化された価格・実行パスを得られる。
強みと課題
強み
- サンドイッチ攻撃の根本的な余地が小さい(オフチェーンバッチ処理)。
- ユーザー同士の「欲求一致」による直接マッチングでスリッページが減少。
- 複数DEXを横断するアグリゲーターとして、流動性利用効率が高い。
課題
- ソルバーへの依存度が高く、完全分散化とは言い切れない。
- バッチオークション形式のため、即時実行を求めるユーザーには不向き。
- ソルバーの最適化アルゴリズム次第で、実際の実行品質が左右される。
将来性
- AMM型の「サンドイッチ攻撃リスク」や、オーダーブック型の「流動性不足問題」を補完する第3のアプローチとして注目されている。
- 既存DEXの流動性を組み合わせることで拡張性が高く、DeFiアグリゲーターの進化系と見られる。
- ソルバーの競争メカニズムが成熟することで、ユーザーは常に最良の価格と公平な取引環境を享受できる可能性がある。
まとめ
CowSwapは「オンチェーンAMMで発生するサンドイッチ攻撃」を、オフチェーンのバッチオークション+マッチングによって回避するDEXアグリゲーターである。
サンドイッチ攻撃に対抗するための一つの有効な設計であり、AMMやオーダーブックとは異なる第三の選択肢として将来性を持つ。